塾長ブログ

『日本人3人目の100m9秒台スプリンター』 ~教えること、学ぶこと~

現在、ドーハで世界陸上が開催されています。

文字通り熱戦続きで、日本代表の方々、

暑さに負けず頑張っていただきたい。

100mでは惜しくも日本代表選手は、

準決勝で全員落選してしまいましたが、

東京五輪で是非とも決勝進出、そしてメダルを獲得していただきたい。

 

で、少し時間を遡りまして、

7月のロンドン・ダイヤモンドリーグのお話です。

 

小池祐貴選手が100mで9秒98を記録したそうです。

 

凄い!

 

本当に凄いです。

2017年に桐生祥秀選手が日本人初の9秒台を記録してから、

2年間で9秒台の日本人選手が3人も出ました。

ずっと10秒の壁を突破出来なかった日本人。

1回突破してしまえば続く続く。

 

「日本人でも9秒台は可能なんじゃい!」

 

という気持ちが0.01秒の差を縮めるんだと思いました。

前向きな気持ちって大事。

そりゃ1秒とか2秒タイムを縮めることは気合や根性では如何ともし難いですが、

強い気持ちは、ほんの少しだけ限界を超えさせてくれるんでしょう。

ということで、

 

「日本人には9秒台は無理なんじゃないの…」

 

というネガティブな空気があったであろう日本で、

見事に壁をぶち壊した桐生選手は本当に偉大です。

 

勿論、小池選手の9秒台も本当に凄いですが、

そこに至るまでのプロセスこそ凄いと思いました。

 

 

伸び悩んでいた小池選手が、幅跳びの元日本代表選手・

臼井淳一氏に練習を見てもらう機会があった時のことです。

 

臼井氏「そんな(練習)んじゃ速くならないよ」

 

記録が出ず、恐らく自分に限界を感じていたであろうそんな時期に…

私なら心が折れて引退する自信があります。

しかし、小池選手は違いました。

臼井氏の凄さを感じ、師事することに決めたそうです。

ここが凄い。

結果だけを見れば、

 

「練習法を変えたことにより、記録が大幅に伸びた」

 

のですが、そんな簡単な話じゃあない。

それまで自分がやってきたことを変えるのは、

非常に難しいことだからです。

必死に取り組んでいることなら尚更です。

一種の自己否定なのですから、

私なら自己流を貫いて記録を伸ばそうと躍起になるところです。

小池選手は、

 

「なるほど、こっちの方が良い」

 

と思ったかどうかは定かではありませんが、

自分のやり方を変えました。

尊敬に値します。

良いと思ったことを素直に受け入れる、

器の大きさを持っているのでしょう。

そして、臼井氏の練習法を取り入れた小池選手、

その練習法にも注目すべきことがありました。

それは、

 

「全力疾走禁止」

 

というものです。

 

え?日々己の限界に挑戦して、練習では全力疾走するもんじゃないの?

 

と、過去、中学・高校と陸上部に籍を置いていた私は思います。

まあ、短距離走ではなく長距離走の選手でしたが、

練習直後は動くのも面倒なくらい体に負荷をかけていたものです。

本当に全力疾走禁止で速くなれるの?

 

→ 小池選手は全力疾走禁止の練習で100m9秒台を記録しました。

 

これはもう、誰が何と言おうと全力疾走禁止は速く走るための練習です。

だって結果出てますもの。

私がいくら疑いの目で見ようが、事実は事実。

私が知らなかっただけで、より良い練習法は日々研究され、

実践され、そして結果を残していくのです。

 

「いや、たまたま小池選手に合っていた練習法だったんだ」

 

と、難癖を付けて自分の正しさ(正しくないですが)を主張するのは簡単ですが、

そこに成長は1mmもありませんので、小池選手を見習い、

 

「そんな良い方法があったのか」

 

と良い所を吸収していきましょう。

 

何故、全力疾走禁止の練習で9秒台が出せたのか?

臼井氏曰く

 

「今の陸上競技の選手達を見てみると、速く走らないと

速く走らないとと思っていると思うんですよね」

 

…いや、そらそう思うでしょう。

いやいや、話は最後まで聞きましょう。

 

「まずはゆっくりしたスピードで、

正しい足の運びや腕の動きとかをまず身に付けて、

それができるようになったら徐々にスピードを上げていけば良いんです。

足の接地とか体重移動とかは、

速い動きだとごまかせてしまうんですよ。

だけど、ゆっくり走るのは本当にキツイんで、

あえて遅い動きでやっています」

 

う~ん、流石。

しっかりした理論に裏打ちされた科学的な練習法です。

選手に合った正しいフォームは、無駄な力を極力小さくし、

ほぼ全ての力を前進する力に変えてくれます。

一歩一歩の小さな無駄を削っていくと、トータルで大きな差が生まれます。

型とか基本というのは、本当に大事です。

もっと大事なのは、何故そうするのかを理解してやること。

臼井氏は前述の内容を小池選手に伝えていたはずです。

小池選手は、その助言を理解し、消化し、練習に活かし

順調にレベルアップを果たしたんだと思います。

ダルビッシュ選手の金言を思い出しました。

 

「練習は嘘をつかないって言葉があるけど、

頭を使って練習しないと普通に嘘つくよ。」

 

ホントそう。

 

信頼する師の下でノウハウを学び、

より効率的、効果的に能力を伸ばす。

そのために、助言には素直に耳を傾け、

理解した上で実際に行動を起こす。

 

勉強そのものです。

 

臼井氏と小池選手は理想的な師弟関係を結んでおられて

羨ましく思いました。

 

私も生徒達の能力を最大限引き出したい。

そのために、どんな学習法が有効なのか、

日々是研究です。

学習法に正解はなく、常に改善されていくものですから、

慢心せず常に研鑽していきたいです。

 

そう言えば、私にも恩師がいました。

○山先生、元気かなぁ

 

次回は、恩師の御蔭で数学への考えが変わった話を

書けたらと思います。

 

最後まで御覧くださり、誠にありがとうございます。