塾長ブログ

『教育とは』 ~日本学術会議問題。…問題?~

教育に携わる者として、教育の目的の1つは『自立させること』と捉えております。
塾生の自立の手助けになればと考え、品位と教養を高めて欲しいと常々思っております。
豊かな品位と教養は判断力の向上につながり、判断力の向上は自信につながり、
自信は自己肯定につながり、自己肯定によって自己責任能力が磨かれ、
自己の責任において自己実現を果たすことで自立していって欲しいと思います。
根幹にある豊かな教養とは、勉強で得た知識を使いこなす力と考えます。
知識を詰め込むのも教育の一端ではありますが、
詰め込んだ知識は使いこなしてこそ、その真価を発揮します。
覚えた知識をテストで良い点を取るためだけに使うのはもったいない訳です。
ひたすら暗記のみで受験やテストを乗り切ろうとしている生徒も、非常に勿体ない。

例えば、

例題)縦40㎝、横30mの長方形の面積を求めよ。

という問題があったとしましょう。答えは、そう1200㎠。

と、なった人は要注意です。おそらく暗記重視の勉強をやっている可能性が高いです。
暗記に頼った勉強法では、引っ掛け問題に引っ掛かりやすくなります。
知識を覚えることのみに全力を注ぎ、
肝心の問題文の方に注意を払わなくなるからだと思われます。
与えられた問題文をよく読まず「こう書いてあるだろう」と思い込み、
「この問題はこの公式に当てはめて解けばいいだけ」と数字などに注目して
あっさり引っ掛かってしまうと。
せっかく覚えた知識を活かすためには、問題をよく読み、
おかしな所がないかどうかに注意しながら解く必要があるんですな。
それが出来る様になると、ミスが格段に減ります。
例題は、長方形の面積を求める問題なので『縦×横』の面積の公式を使うのですが、
公式を『縦×横』のみで暗記している方は、
更に重要な『単位』をまるっと忘れている危険性があります。
ここでは単位に注意を払い、どんな単位での解答を求められているのかを考えると、
正答に結びつきます。解答の単位が特に指定されていなければ、自分で自由に設定しましょう。
よって、㎠の解答ならば、縦40㎝・横3000cmと変換し、120000㎠
㎡の解答ならば、縦0.4m・横30mと変換して、12㎡、が正答となります。
似たようなひっかけ問題で、速さの問題や圧力の問題なんかがあります。
近頃の入試問題は、解法の複雑さより問題文の複雑さが目立ってきております。
出題者が仕掛けた罠にすっぽりハマることのないように、
教養を高めていきたいところです。

さて今回、教育の問題に触れたのは、ニュースで日本学術会議の問題を見たからです。
教育に関わる問題と思いニュースを見ていると、何かがおかしいと感じました。
おかしいと思ったら調べてみることが大切。
ということで、自分で調べてみたところ、疑問に思うことがありました。

そもそも日本学術会議問題とは、

『日本学術会議が推薦した会員候補105人の内、菅政権が6名の任命を拒否した。』

という問題。
「学問の自由の侵害だ!」「人事介入だ!」などと報道され、
問題視されているみたいです。
報道内容を鵜呑みにするなら、
「学問の自由を侵害している」というぐらいだから、
日本学術会議は色々な研究を行っている機関ぽいのか、と思うでしょう。
「政府からの人事介入が不当だ」と報道されているから、
国から独立した機関ぽいのかな、とも思うかもしれません。
「拒否理由を明確にすべきだ!」とも言っているので、
正当な理由もなく任命拒否をしているっぽい、と思わされそうです。
しかし、鵜呑みにして「~ぽい」と判断するのは危険です。
まずは、「本当にそうなの?」「おかしなところない?」
と、自分で調べてみることが、これからの社会に役立ちます。

調べてみたところ、日本学術研究会とは

・政府から独立した『内閣総理大臣所轄の機関』であり、経費は国庫すなわち税金から出ている。
・科学に関する重要事項を『審議し』、その実現を図る。
・科学に関する研究の『連絡を図り』、その能率を向上させる。
・政府に対する『政策提言』
・国際的な活動
・科学の役割についての『世論啓発』

という特別な機関だということが分かりました。

…研究してなくね?

日本学術会議に入らないと学問が出来なくなるわけではなさそうです。
落ち着いて考えれば、
日々、日本中の小・中・高・大学や研究機関で学問は行われています。
すなわち学問の自由はがっちり保障されています。
学術会議に入れないからと言って学問の自由が侵害されている訳ではなさそうです。
また、政府から独立して職務を行う機関ということですが、
内閣総理大臣所轄の機関ですし、
会議の会員は「特別国家公務員」ということです。
ということは、どこからどう見ても日本学術会議のトップは内閣総理大臣です。
国家公務員も行政に属しています。
中3の公民でも、行政権は内閣に属し、そのトップは内閣総理大臣と習います。
国家公務員の任免権も当然、内閣総理大臣が持っています。
税金で運営されている以上、選挙によって選ばれた政治家が判断するのは当然です。

…あれ?内閣総理大臣は日本学術会議の人事に介入出来るよね?
とういうか決定権は内閣総理大臣にあるよね?

何か報道内容と全く違うことが分かってきました。
となると、「拒否理由を明確にせよ!」と言う問題も、

一般の企業とかでも不採用の理由なんか教えてないよね?

となります。
会社でも人事部が社員の採用業務を行いますが、
最終決定権者は社長だったりします。
人事部が「この人を採用しよう」と判断しても、
社長=トップが「ダメ」と言ったら不採用な訳です。
そして不採用になった場合、不採用になった側へ理由を明かすことはまずありません。
そら「あなたは、これこれこういう理由でウチには必要ないから採用しません」
とか、わざわざ言いたくない訳です。
いわゆる「お祈りレター」や「お祈りメール」が届くくらいです。

…別に拒否理由を明かさなくてもよくね?
と言うか、明かしたら教授達の恥をさらすことになっちゃわない?

う~ん…、報道内容って大分偏るものなのか…。
で、もう少し日本学術会議について調べてみましたら、
更に疑問に思うことも出てきました。
身近なことで言うと、

・復興増税を政府(当時は民主党政権)に提言した。
・レジ袋有料化を政府に提言した。
・軍事研究に関する研究を禁止している。

だそうです。…マジか…。
天下の愚策を「不況の時の消費増税」とするならば、
空前の愚策が「復興増税」です。
増税は基本的に、好況時に景気の過熱を冷ます目的で行います。
不況時には、景気を回復させるために減税を行うべきなのです。
中3の公民(義務教育)で習います。繰り返し言いますが、
増税とは、「好景気で」「インフレを抑えるため」に行うものです。
不況だったら、増税してはいけません。中3生でも分かることです。
ましてや、災害により甚大な被害が出て、経済的な損失が大きい時には
絶対にやってはいけないことです。ただでさえ震災でお金がない時に
今まで以上に税金が取られるなんて…。
そもそも震災復興のためのお金がない時は、
普通は「国債」で賄います。「復興国債」などですね。
全世界のほとんどの国がそうしています。
しかし、国債の話になると、

「国債を発行すると国民の借金が増える!」

と言い出す方々がいます。震災の時もそうだったようです。
いやいやいやいや、非常事態の時に国が借金気にしてどうすんの。
被災者を救う為という大義を掲げながら、
その財源を国民のみに押し付けるなんて、尋常な政策とは思えません。

「困っている人がいるから、お金がないだろうけど頑張ってお金出して。
え?国?借金が増えるから出せません。」

ということです。正に狂気の沙汰。
申し訳ありません、言葉が過ぎました。
ちなみに「国債は国民の借金」というのも嘘です。
国債は「政府の借金」です。国民の借金なはずがありません。
国債は「政府」が発行し、日本銀行や企業や個人が買うので、
買った人にとっては「資産」です。
「10年国債」は、買えば10年後に買った金額が戻って来るんですから。
利息付きで。

※つい最近、日本の国債の金利はマイナスになりました。
国債を買ったら、買った金額より少ない金額が戻ってくるということです。
買う側が損するのに、あっと言う間に買われたそうです。
なぜこんなことが起こったのか?
日本円の発行額が少なく、更に安全な通貨として世界中に認められているからです。
この状況では、国債を発行すればするほど利益が出ます。
ガンガン国債発行してインフレさせていれば、もっと景気は良くなったはずなのに…

ともあれ、国民から税金を搾り取っておいて、借金まで国民に押し付けるつもりなのか。
と、義務教育の知識でも「おかしなこと言ってるなぁ…。」と分かります。
震災で国民が苦労している時に、そんなキテレツな提言をしていたとは…。

レジ袋有料化にしても、分かり易い愚策です。
なぜなら、プラスチックごみ増加問題にあわせて実施されたはずなのに、
小泉環境大臣が「プラスチックごみ減少にはあまり効果はありません。」
と仰っているからです。

…じゃあ何でやったのよ…。

「プラスチックごみ問題を意識させて国民の啓発を促し、
その結果としてごみを減少させることが目的です。」

…国民は金銭的な負担を感じなければ、ごみを減らせないとでも?
「国民は馬鹿だから少しくらい痛い目をみないと分からないだろう。」
と言われているように感じてしまいました。

軍事研究禁止にいたっては、
日本学術会議そのものが学問の自由を侵害していたという笑えない事実。
「軍事研究を行うと戦争に繋がる」とか言っています。
軍事研究は「国防」のためにどの国でも積極的に行われている、
基本的に「戦争回避」のための学問です。
多くの国では「戦争にならないため」に研究している訳です。
日本だってそうでしょうよ。
また、副次効果として科学技術の発展にも寄与しています。
ロケットもインターネットもGPSも軍事研究から生まれ、
民間に転用された技術です。
軍事と科学技術の発展は密接に関係しており、
逆に科学技術の研究が軍事研究に繋がったりもする訳です。
国の利益の発展のためにも軍事研究は重要な学問です。
要するに軍事研究をしたからといって即戦争になるはずがなく、
日本の発展のためにも重要な学問の1つが軍事研究な訳です。

…あれ?菅政権、グッジョブなんじゃない?

とまあ個人的に、菅政権ナイス!という結論に達しました。
しかしながら、日本学術会議が行っていること全てがおかしい、とはなりません。
大学の先生は全国に80~90万人。
その中から選ばれた210人なので、物凄い業績を残されている方も当然多数おられます。
会長の梶田隆章氏もノーベル物理学賞などを受賞されていて、とても立派な方です。
おそらく梶田会長も、「今回の騒動はちょっと騒ぎ過ぎだなぁ…」と思われたのか、
菅総理と会談した際、決議文をお渡しするのにとどめています。
報道でも「未来志向で、社会や国にどう貢献するかについてお話した。」
と仰っており、任命拒否問題には触れず、これからの事を重視した模様です。
是非、社会や国のために貢献してください。
どうか珍妙な提言を政府にしないよう切に願います。
個人的には、消費税の減税とかコロナの第5類感染症への格下げなどの提言で
経済刺激策を促進して、好景気へ誘導していただきたい。

日本学術会議問題で、報道内容とは異なる考えを述べてきたのは、
与えられた情報に対して、鵜呑みせずに自分で調べたからです。
一昔前まで、報道内容の真偽を調べるのには、大変な労力と時間がかかりました。
なので、報道内容をそのまま受け取ることが一般的でした。
しかし、インターネットの登場と普及で、膨大な情報が短時間で得られるようになり
一般的な概念がひっくり返りました。
「本当かどうか」を個人レベルで調べることがお手軽に出来るようになったのです。
これを使わない手はありません。
勉強や物事に対して受け身のままでいることなく
自分から疑問点を見つけ解決しようとすれば、
様々なことが分かり判断材料も増やせます。
気を付けないといけないのは、
インターネット上には、
正しい情報、間違った情報、中立な情報、偏った情報などがあるということです。
自分の知識と教養に照らし合わせて、必要な情報を選ぶことが大切です。
テスト同様、世の中には引っ掛け問題がそれこそ山のようにあります。
テストと違って非常に分かりにくいものばかりです。
知らないうちに引っ掛かってしまっていたりもする訳です。
引っ掛かっているのに気付かず損だけしている、なんてことも。
塾生の皆には、まずは社会に出る前の訓練と思って、
問題を読み込み、引っ掛け問題の罠にかかることなく、
正解に辿り着く力を身に付けていって欲しいと思います。

最後まで御覧くださり誠にありがとうございます。