塾長ブログ

『地球を守るバリアー』 ~磁場のお話~

地球に降り注ぐ様々な脅威から、私たちを守ってくれているものの1つが

「磁場」

です。英語にすると「magnetic field(マグネティック・フィールド)」。
カッコイイ。
地球に降り注ぐ脅威の1つは、太陽から放出される膨大なエネルギーである

「太陽風」

です。磁場は、この太陽風の大部分の直撃を防ぎ、地球を守っています。
磁場が無い状態で太陽風を浴びたら地球はどうなるのか。
大気や水が宇宙空間に吹き飛ばされて、地球が干上がるそうです。
マジか。
流石に一瞬にして全てを持っていく訳ではなく、
徐々に削り取るように宇宙空間へ飛ばしていくのだそうです。
太陽から地球までの平均距離は約1億5000万km。
…いちおくごせんまんキロメートル。
そんな超々長距離から地球の大気を吹き飛ばす力を出しているとは。
太陽とんでもない。
流石、太陽系の全質量の99.86%を占めているだけあります。
大きさは伊達じゃない。
そんな惑星の環境を激変させる太陽風。
防ぐことのできない惑星は殺伐とした環境になります。
例えば、水星、金星、火星には磁場が無いか極めて弱く、太陽風をモロに浴びています。
更に、水星、火星は地球より小さいため、重力も弱く、そもそも大気を維持する力が弱い。
水星は太陽からの距離が近いことも重なり、大気がほぼ存在しない天体に。
火星には過去磁場があったみたいで、その頃は水も大気もあったようですが、
何らかの原因で磁場が弱まり、太陽風に飛ばされたりで徐々に宇宙空間に放出されて
今では薄い大気の層と地表にわずかなドライアイスがあるのみです。
金星は地球と同程度の大きさで、大気を維持する重力がありますが、
磁場がないため、これまた太陽風をモロに浴びます。
その結果、軽い気体や水は長い年月をかけて宇宙空間に吹き飛ばされ、
重い二酸化炭素が金星に留まり、大気の約96%を占めるにいたりました。
この三惑星のような過酷な環境では、生物が発生する確率は0に近く、
当然、人間が住もうと思っても住めるものではありません。
マグネティックフィールドに守られている我らが地球。
本当に磁場様様です。

しかし、この恐るべき太陽風。
モロに浴びると地球滅亡ですが、無ければ無いでやっぱり地球滅亡だそうです。
マジか。
何とこの太陽風、もっと強力な放射線である「宇宙線」を、
70%もカットしてくれているということが分かりました。
太陽風ありがとうございます。
宇宙線とは、超新星爆発とか、銀河同士の衝突によって生じる
莫大なエネルギーを持った衝撃波です。
…銀河同士の衝突?
銀河って、あの星の集まりの?
太陽系を含む銀河系は直径10万光年とかあるよ?
10万光年同士がぶつかるの?
規模がデカすぎて想像が追いつきません。
超ド級の衝撃波であることはかろうじて想像できます。
そんな衝撃波が飛び交う宇宙。
普通に怖い。
要するに、太陽風も宇宙線もモロに浴びると地球滅亡です。
磁場が太陽風から地球を守り、太陽風が宇宙線から地球を守っていると。
宇宙の脅威から二重に守られていたとは。
太陽風様様です。
地球が奇跡の星と呼ばれるのも頷けます。

さて、地球上の生物のために磁場が非常に大切なものであることは
御理解いただけたかと思います。
しかし、磁場が発生するメカニズムは、はっきりとは分かっていないそうです。
推測として、地球の地下約2900kmにある外核の作用と考えられているそうです。
ちなみに、地球の構造は、外側から順に、地殻→マントル→外核→内核となります。
一番外側の地殻が、私達の住んでいる大地ですね。
で、地殻とマントルの間にあるのが、高校で習うモホロビチッチ不連続面です。
マントルの下の外核は、液体のニッケルと鉄で構成されていて
液体のため絶えず対流していることが分かっています。
その動きにより電流が生じ、生じた電流から磁場が出来ているそうです。
電流により磁場が生じる、そう、中学理科で習う電磁誘導です。
中学理科ではコイルの中に磁石を出し入れして
磁場(磁界)を発生させて電流を発生させていましたが、
磁場はその逆で、電流を発生させて磁場を生み出している状態です。
ちなみに液体金属の対流によって電流を生み出しているため、
何らかの原因で対流の向きが変わると、磁場の逆転が起こります。
地磁気のポールシフトと呼ばれる現象です。
この現象が起こると方位磁石の向きが逆転します。
現在はN極の針が指す方角が北ですが、ポールシフト後はS極の針が指す方が北になると。
地図が改訂されますね。受験の過去問なんかも年度を見て解かないといけない。
でも、ポールシフトなんて本当に起こるの?
それが、数万年から数十万年の頻度で起こっているんだとか。
最近起こったのは約77万年前。
それを証明する地層が、何と我が国日本にあるというのですから驚きです。
その地層は千葉県にあり、国際地質科学連合に、地球の地質年代区分の境界ポイント、
「チバニアン」として承認されました。
地質年代区分と言えば、中学理科で習う「古生代」「中生代」「新生代」のアレです。
チバニアンはその中の「新生代・第四紀・更新世中期」にあたります。
教科書に載るレベルの地層で、実に凄いことです。
さて、磁場に話を戻しましょう。
現在、物理学の発展で地球内部の状態や磁場の発生について
相当な精度で推測は立てられています。
が、はっきりと分かっている訳ではないので、
日々研究されており、その研究から新しいことが発見されている状況です。
で、直近の研究によると、どうやら磁場が弱まっているらしいんですね。
これは大変。
まあ、急激に磁場の力がなくなるわけではないので、更なる研究の結果待ちですが、
地球上の生物のために是が非でも研究に全力を注いでいただきたい。
磁場が無くなると地球上の生物の大量絶滅は不可避ですから。
磁場の研究者の方々には本当に感謝しかありません。
研究した知識を役立てていただきたいと思います。

このように勉強とは、ただ知識を覚えてテストの成績を上げるものだけではなく、
自己及び他者の役に立つことが真価の1つです。
勉強することで、より良いものを選べる判断力が身に付きますし、
間違っていることに気付いて危険を回避することも出来ます。
そのための勉強は「ただ覚える勉強法」では身に付きません。
例えば、設問についてどう考えれば答えにたどり着くのか、を意識した勉強。
設問を読み取る力、解答に有効な解法の選択、解法を思い出すための論理的な思考、
などを、志塾では指導していきます。

最後まで御覧くださり誠にありがとうございます。