塾長ブログ

『高校入試問題の変更』 ~出題範囲が狭くなりますが…~

東京都教育委員会は、来年度の都立高校の入試で
出題範囲の縮小を発表しました。
5月に文部科学省が、
休校措置によって受験で不利になる生徒が出るおそれがあるため、
全国の教育委員会に出題範囲に工夫するよう通知を出していたからです。
出題範囲の縮小は全国で実施されることになりそうです。

誠に申し訳ありません。前回のブログで私は、

「受験までに履修内容は充分に取り戻せそう」

と記述しましたが、取り戻せそうにない可能性が出てきました。
東京都の教育委員会は、取り戻せないのは仕方がないとして、
生徒にとって最も負担が少ない方策である出題範囲の縮小を決定しました。
京都も同様の判断をする可能性が高いです。
私の情報収集不足により未確定の内容を発信してしまいました。
訂正して謝罪いたします。誠に申し訳ありませんでした。
正しくは

「充分に取り戻せるとは言えない」

です。京都府教育委員会の発表待ちですが、
おそらく出題範囲は縮小されるものと思います。
ちなみに、東京都立高校の入試で削除される単元ですが、

国語:中3の教科書で学習する漢字
数学:三平方の定理
英語:関係代名詞

など。と発表されています。
三年生の後半に履修予定だった単元が削除されます。
京都でもそれに近い量が削除されると思います。
削除が発表されたとしても

「出題範囲が狭くなってラッキー!」

とはならないことも知っておきたいところです。
出題範囲縮小によって引き起こされる最も恐るべきことは

「だから勉強しなくていい!」

と、生徒が都合の良い言い訳に使うことです。
勉強しなくていいわけがないだろう、と保護者の方の声が聞こえてきそうです。
全くその通り。
あくまで『一部削除』にも関わらず、一部の生徒は免罪符を得たように
「勉強しなくていい理由」として使うでしょう。
勉強したくないと常々思っている子は、
「勉強しなくていい理由」を常に探しています。
今回の措置は、そういう子にとって格好のネタに成り得ます。
そして、出題範囲が一部削除されたとしても範囲自体はやっぱり広いのに、
何故か勉強時間も削除してしまうのです。
真面目な生徒が引っ張られないように注意していきたいところです。
入試の範囲じゃないから絶対勉強しないと頑なに言い張る生徒もいると思いますが、
事実を述べていきます。

削除された単元を知らない状態だと、高校入学後に間違いなく苦労します。
三平方を習っていないからと言って、三角関数が無くなることはありませんし、
関係代名詞を習っていないからと言って長文読解の難易度が下がるわけではありません。
「受験に出ないから勉強しない」は「高校で苦労しても構わない」と同義です。
苦労することが確実なのに、放っておくわけにはいきませんので、
受験勉強で余裕のある生徒には削除された単元の指導を考えています。

そもそも、出題範囲が縮小されたからといって、
学校の授業から削除されるとは言い切れません。
学校でも将来不利になることが分かっていながら、
何も手を打たないとは思えませんので、
授業の進行具合で、三平方や関係代名詞の授業もするのではと思います。
授業が出来なかったとしても、家庭学習や補修等を実施するか、
高校入学前後の授業に組み込まれることも考えられます。
また、三平方の定理は便利な公式なので、応用問題で活用すると簡単に解けたりします。
三平方の定理を使わずに応用問題に取り組む方が、逆に難しかったりするのです。
ということは、受験問題によっては、

「三平方が使えたら簡単に解けるのに」

なんていうことがあり得ます。
そんな状況を見越して、三平方を教える先生もいらっしゃるかも知れません。
学年の後半に習う単元は難しいですが、理解して活用できれば非常に便利なものです。
学校で三平方や関係代名詞の授業をやることになったとしても、

「何で入試に出ないのにやらないといけないの」

と単純に思ってはいけません。

「入試に出ない=これからもやらなくて良い」

ではないからです。入試に出ないだけで、進学後は必ず必要になります。
受験勉強に取り組んでいる期間は、勉強する時間が自然と長くなります。
集中力も上がっていると思います。
そんな時こそ、知識を蓄えるチャンスでもあるんです。
安易に楽な方に進むのはおススメできませんので、
色々な知識を積極的に学んでいきましょう。

ちなみに、文部科学省が入試で配慮を求めた内容として、

高校入試
・内申書を合否判断に使う場合、出席日数や学習評価内容で不利益がないようにする。
・長期休校の地域の生徒が短期地域を受験する場合は面接や作文なども活用する。

大学のAO入試や推薦入試
・オンラインによる個別面接やプレゼンテーション、実技動画提出で選抜方法を多様化する。
・大学のオンライン授業に参加させ、作成したレポートを活用する。
・スポーツ大会などの結果が記せなくても不利益にならないよう多面的・総合的に評価する。

などもあります。
大学の共通テスト(旧センター入試)も、延期無しとの発表がありました。
受験生にとって負担ばかりが大きくなっています。
全員同じ条件だから…というにはあまりに酷な話です。
せめて志塾の受験生には、受験に向けて今やっていきたいことなど、
有益な情報を伝えていきたいと思います。

大変な時期にこそ、全力で取り組んでいきましょう。
最良の結果が出なかったとしても、最悪の結果にはなりません。
全力を尽くした経験は必ず役に立ちますし、
振り返ってみると結構話のネタになるものです。

「コロナの時ひどかったよね~」

なんて、笑顔で話せるように、今を頑張っていきましょう。

最後まで御覧くださり誠にありがとうございます。