塾長ブログ

『数学は文学であり芸術だった』 ~○山先生、お元気にしておられますか? H先生、また遊びに行きましょう~

私事で誠に恐縮ですが、
私が徳島県立城北高等学校に通っていた頃の話です。
2年に進級する際、文理選択で文系を選択しました。
理由は

「数学が苦手だから」

ポジティブの欠片も見えませんねぇ。
どこからどう見ても後ろ向き。
ちなみに今だから言えますが、選択は

「何が好きか」(得意・不得意関係なく)
「何に興味があるか」

のようなポジティブな理由で決めた方が良いです。絶対。
さて、その頃の私は本当に数学が苦手でした。
算数(小学校3年生くらい)の頃から嫌いになり、
高校1年まで苦手意識がつきまといました。
『数字』『式』『答え』
が、数学の全てだと思い込んでいた高1までの私にとって、
面白くもなんともない教科だったと思います。
言い換えれば
『記号の羅列を見る』『記号の羅列を作る』『数字を書く』
という感じでした。
ほとんど拷問です。
という訳で、文理選択の際、迷うことなく文系を選択。
この時は特に何も考えず、
「出来るだけ数学に関わらない方向でお願いします」
という気持ちでした。
まあ、文系を選んでも数学の授業はあるのですが、
理系より数学の授業時間が「ちょっとだけ少なくなる」の
「ちょっとだけ」にすがりつくぐらい数学との関わりを避けようとしていました。
そんな数学嫌いの私が、2年進級時に○山先生と出会います。
○山先生は私の2年の担任で数学教師でした。
そう言えばあの時代、数Ⅱ・数Bじゃなくて代数幾何・基礎解析だったなぁ。
まあそれはさておき、
「担任の教科だから数学頑張ろう!」なんて殊勝な考えを抱くこともなく
「先生ごめん、数学は苦手なんや」という想いで2年の数学が始まりました。
が、○山先生の授業はとても分かり易かった。
人生で初めて数学が面白いと感じた1年間でした。
個人的に○山先生の最も凄いところを挙げると、
板書の美しさだったと思います。
○山先生の板書はとても美しかった。
字が綺麗なのは勿論、解答までの流れが非常に論理的だったんです。
途中式がとても丁寧で、問題から解答までの道筋がはっきりと分かるんです。
何故そう変化していくのか、ちょっとした注釈も簡潔で
設問に対して解法の選択を行い、立式から途中式を経て解答に辿り着く流れは
あれだけ数学が嫌いで解法なんて全く頭に入って来なかった私にも
すんなりと理解できるほどでした。
「数学ってこんなに簡単だったの?」と高2の私は衝撃を受けました。
今、思い返してみると、

「数字も言語である」

と無意識に理解していたんだと思います。
勿論、それまでの小・中・高1の算数・数学の先生方も
途中式を書いて指導してくれていましたが、
○山先生の途中式の美しさは断トツでした。
設問を読み解き、
問題に対応する解法を選択し、
順序立てて立式を行い、
丁寧に計算すると解答に辿り着く。
この問題は~だから〇〇を使い、
○○だから△△になって、
□□という結果が得られる。
と、まるで文章です。
スマートな解法は、簡潔で美しい文章のようです。
しかし、〇山先生はスマートな解き方のみの板書はしません。
時には、注釈を多めに書き、必要だと判断したら
これでもかと解説を加えて念入りに指導を行ってくれました。
少し遠回りした解法は、丁寧で説明が多い文章と同じです。
どちらにしろ、問題に対する考えを数式で表現し、
求められているものに応えるのが数学だったんです。
まさに文学。
そんな〇山先生の授業を受けた結果、あれだけ数学が苦手だったのに、
定期テストのクラス順位は1年間ずっと一桁台でした。
数学のテストの最低点は89点だったと思います。
基礎解析では90点を下回ったことはなかったような。
自慢?
いえいえ、先生が良かったんです。
○山先生に教えてもらったように式を組み立てて解いていくと、
面白いように解答が出てくるのです。
高校2年生にして初めて「数学面白いなぁ」と思いました。
同時に「理系選んどけばよかったかなぁ…」と、ちょっと思いました。
が、文字通り、時すでに遅し。
せめて「文系科目が好きだから」という理由で文系を選択していたら
後悔せずに済んだのにねぇ…。
まあ、それでも十分に自分の成長を実感できる1年間でした。
○山先生ありがとうございます。
ちなみに、○山先生は丸山先生ではありません。念のため。
志塾でも数学の指導は途中式を大事にして、
生徒にも自分で書くように言っています。
〇山先生の途中式のように、過程と結論がはっきり分かる解説を行えるよう
日々研鑽しております。

さて、高2で数学の面白さを実感できましたが、それは解く面白さでした。
高3になって、ほとんど数学の授業がなくなり、大学も文系学部に進学したため、
高2以降、数学に関わる時間が激減しました。
現在のように指導する立場で数学を面白いと感じたのは、塾講師になった時です。
塾講師になりたての頃は、数学から離れていたこともあり
指導科目の中心は文系科目でした。
しかし、生徒に対して

「弱点は重点的に復習しよう」
「苦手科目を克服しよう」

と指導していると「自分もそうじゃね?」と思うようになり、
理系科目を勉強し直さないといけないと考えるようになりました。
その時、想いを汲んで一緒に勉強してくれたのが
同じ教室で働いていたH先生でした。
H先生は年下でしたが、理系科目に精通しておられ、
沢山のことを学ばせていただきました。
H先生も文系科目を勉強し直したいと仰っていたので、
社会の豆知識なんかを伝えたものです。
で、数学をH講師に教えていただいていた時のことです。

「面積は線の集まりです」

という解説に衝撃を受けました。

「直線をちょっとずつズラしながらいっぱい引いていくと面が出来上がった。
だから縦×横なんです」

と続いた言葉に、改めて理系って文系よりよっぽど論理的だと思いました。
その時まで、「面積は『縦×横』」と公式でしか認識していなかったことが、
H先生の言葉で、図形を端から綺麗に塗りつぶしていくイメージと重なったんです。
数学は文学であり、何と芸術でもあった訳です。
更に、

「面積を縦に積み重ねていくと立体になる」

と続きます。ということは、体積は『縦×横×高さ』ではなく、
『底面積×高さ』で捉えた方が、イメージしやすい場合もある訳です。
いやあ、H先生凄い。
また、図形や立体の書き方のコツなんかも教えていただきました。
H先生と勉強していて、面積は着色、線画は関数、
体積はフィギュアのように捉えるようになりました。
例えば、関数を使いこなすとドラえもんが描けます。
『グラフでドラえもん』で検索してみてください。
関数を駆使してグラフ上にドラえもんを描いています。
どこからどう見てもドラえもん。
ドラえもんを関数で表すことが出来ることに普通にビックリです。
ともあれ、H先生からは理系科目を指導することの基本と面白さを教わりました。
数式や公式をイメージで補強して理解を促すことは、今でも指導に取り入れています。
○山先生やH先生のように、数学嫌いの生徒を瞬時に数学好きにする授業が目標です。
これは、数学に限ったことではありません。
志塾では5教科に対応しておりますので、
各教科とも苦手を得意に変えられる授業を目指して日々勉強中です。
「指導する側がされる側より勉強しなくてどうする」の精神で頑張ってまいります。

最後まで御覧くださり誠にありがとうございます。