塾長ブログ

『京都府公立高校前期選抜』

令和3年2月16日(火)・17(水)に京都府公立高校前期選抜入試がありました。
個人的な見解で誠に恐縮ではございますが、
16日に行われた共通問題の方を分析したいと思います。
初回は数学です。今年度も去年度と同じく大問6つの構成でした。
結論を先に申し上げますと、例年に比べて易しくなっていました。
これは仕方がない。コロナの影響で、
『三平方の定理』と『標本調査』
を出題範囲から除外したことが原因と考えられます。
制限のある状態での問題作成は、非常に困難だったと想像できます。
作成者の苦労が偲ばれるとともに、それでもなお、
思考力、理解力を問う問題に仕上がっていると感じました。
各大問ごとに、解法をしっかり理解しておかないと引っ掛かる問題があり、
思考力も試される問題もあり、今年度も良問には違いありません。
中期選抜を受検される方は、受検対策として抑えておきましょう。

大問① 小問集合
全学年の計算問題から出題。
毎年、全学年からバランス良く出題されるので、
3月8日の中期受検者、来年度の受検者ともに
数学の受験勉強は、計算練習を最優先にしましょう。
問題構成は、計算の基本だけではなく、
連立方程式への立式や平方根の絶対値など
単元と解法の仕組みを理解していないと解けない問題も用意されており、
計算問題を機械的に解いている生徒には全問正解が難しいと感じました。
特に最後の中央値と平均値の問題は、間違った箇所の訂正をするもので、
思考力も試される良問でした。
基礎知識の定着と思考力を問う問題は、
中期選抜にも来年度にも出題されることが予想されます。
絶対値や自然数、有理数、無理数などひっかけ問題にひっかからないよう
もう一度確認しておきましょう。

大問② 確率
袋からカードを取り出す問題で、
引いたカードを袋に「戻さない」形式でした。
カードに書かれた数字の読み取りと
袋に残されたカードの数字の読み取りに法則があり、
しっかり設問を読んで理解してから解かないとミスを誘発させられる
思考力を試す問題でした。
また、素数の知識とカードの組み合わせから解答を導かないといけないので
並行思考の練習もしておかないとミスにつながる問題もあります。
袋の中のカードの選び方に罠があり、数え間違いも誘導される
なかなか凝った作りに、問題作成者のこだわりを感じます。
試験時間の関係もありますが、設問はよく読み込んで解くようにしましょう。

大問③ 関数と図形
2つの図形が移動し、重なった部分の面積と移動時間が関数になる問題。
移動し始めてからしばらくは、xの2乗に比例する関数で、
途中から最後までは一次関数に切り変わる問題です。
普段から関数の問題を解く時に、
グラフを書いて解く練習をしている生徒にとっては難易度が下がる問題ですが、
『変化の割合』をしっかり理解していないと正解に辿り着けないようになっていたりと
一筋縄ではいかない作りになっています。
更に、比例・反比例・一次関数・xの2乗に比例する関数について、
それぞれを正確に理解していないと解けない問題もあり、
この問題もこだわりを感じます。
関数の問題は必ず出ますので、受検生の皆さんでどの単元を勉強するか迷っている方は、
関数の問題を優先して解くようにしましょう。

大問④ 平面図形
平行四辺形を利用して、証明や面積比を求める問題。
前期では頻出の証明問題が今年度も出ました。
平行四辺形の性質を覚えていないと解答出来ない問題だったので、
三角形の合同条件・相似条件以外にも各種図形の定義や定理を覚えておきましょう。
また、高さや底辺が等しい図形の面積比や、相似比を利用した面積比など
比の利用も頻出問題なので、比を利用する解法を複数抑えておいて
問題に対応できるようにしておきましょう。
今年度は、相似比の利用でも底辺と高さの比でも
解答を求めることができました。解法は複数持っておくと便利です。
ちなみに私は、今回の問題では底辺と高さの比を利用して解く方が好きです。

大問⑤ 空間図形
半球の容器と、回転体(円錐を切断したコップ型容器)の問題。
(1)の問題は、円周と円の面積、球の表面積と体積の公式を覚えていれば
難なく解ける問題でした。公式の大切さが分かる問題です。
相似の利用がここでも出ており、体積比を忘れている生徒は辛かったと思います。
(3)の問題自体はオーソドックスですが、数字が大きく、共通因数が見つけにくいため
約分ミスを狙った問題と感じました。
計算の法則、素因数分解の利用で計算ミスは減らせますので、
数字を小さくしてから計算に取り組む練習をしておきましょう。

大問⑥ 規則性
今年度の規則性は計算の正確さを重視した問題だと感じました。
規則性の問題を多く解いている生徒にとっては、
規則を見つけることはそう難しくないと感じたからです。
(3)の問題は特に数字が大きく、雑な計算ではミスが出ます。
丁寧に計算するか、途中式を工夫して数字を小さくするといった
柔軟な思考が求められていると思いました。
どの教科にも言えることですが、
問題を良く読んで、
解法を選択し、
計算ミス、誤字脱字に注意して丁寧に解く
ことを念頭に置いて、試験時間を考慮に入れた上で
解ける問題を確実に解いていってください。

最後まで御覧くださり誠にありがとうございます。