塾長ブログ

『京都府公立高校入試問題』 ~問題の分析とこれからの出題傾向②~

3月16日の合格発表日、志塾の公立高校受検生達は
全員第一志望校に合格しました。
笑顔で報告に来てくれて、本当に嬉しく思いました。
毎年のことながら、
合格発表日が1年で最も緊張、歓喜、遺憾を感じる日です。
今年も緊張と歓喜を味わうことが出来て幸せであるとともに、
来年も遺憾だけは絶対に感じることがないように頑張っていきます。
さて、前回は前期選抜について記述しましたので、
今回は中期選抜についてです。

京都府公立高校中期選抜入試問題の出題傾向は、
5教科とも例年通りでした。

国語:大問2つの構成で、古文、現代文が1つずつです。
前期選抜と出題順が異なり、古文から問題が始まります。
古文は、現代仮名遣いや主語の読み取りといった基本事項、
読解の選択問題、会話文で出題文の大意を掴む問題でした。
注釈を確認しながら出題文を訳すと
答えに辿り着く問題構成でしたので、
対訳の力が必要になりますが、まずは大まかにで良いので
訳す練習をしていきましょう。
効果的な問題集は、解答に出題文の全訳が載っているものです。
出題文と全訳を見比べながら、対訳の力を付けていきましょう。
現代文は論理的文章で難易度は例年並みと感じました。
気になる問題は、近年出題頻度が上がってきている
出題文中の言葉の意味を問う問題です。
語彙力を試される問題はこれからも増えそうです。
文法問題は今年も品詞を見抜く問題で、
修飾語や助詞・助動詞の判別は来年も出題濃厚と思われます。
受験直前に是非ともやっておきたい問題は、
『情報・意見まとめ』系統の問題です。
国語の最後の問題は20年近く続けてこの系統の問題が出題されており、
今年もポスターセッションが出題されました。
学習指導要領の改訂時期で、
思考力・表現力の強化が推進される見通しなので、
来年も引き続き出題されると思います。
ディスカッション、スピーチ、レポートなどのまとめ方、発信の仕方
をおさえておきましょう。
この表現力・発信力は、高校生、大学生、社会人と
将来においてとても役に立ちます。
決して無駄にはなりませんので、安心して勉強しましょう。

社会:大問4つの構成で、3つが地歴複合、1つが公民の問題。
地理と歴史は毎年複合で出題されますので、
『どちらかを重点的に』ではなく
『どちらも並行して進める勉強』
が必要になってきます。
地図で地名や海洋名を覚えると同時に、
その場所で起こった歴史上の出来事なども覚えておきましょう。
例えば、アメリカの山脈や都市名を覚えたら、
コロンブスがいつアメリカ大陸に到達したのか、
どんな戦争があったのか、なども同時に勉強するといった具合です。
地歴複合には、赤道の位置、地形図の利用、表・グラフの読み取りが
今年も出題されました。この3つはほぼ間違いなく来年も出ると予想されるので
くり返し演習しておきたいところです。
公民は、頻出である三権に関する単元と、経済から出題されました。
また、公民のみで構成される訳もなく、地歴との複合問題もありました。
今年は、経済との複合問題で、農産物と世界恐慌の知識が問われています。
また、社会の特徴の1つとして
『完全解答が多いこと』が挙げられます。
いわゆる総合力を問われることになりますので、
地歴公民を満遍なく勉強していくようにしましょう。
社会の受験勉強は、やはり王道の
入試の過去問(赤本)を解くこと、が有効です。

数学:計算の小問集合、確率、関数、空間・平面図形、規則性の構成。
小問集合は、ひっかけ問題もなく、基礎力重視の傾向。
確率は個別で大問に出題されたため、規則性との複合問題。
個人的には、読解力も試される良問であると感じました。
自分で図に表しながら考える習慣がついていると
それほど難しくは感じない問題でしょう。
関数は文章のみで出題されており、それだけで難易度が上がります。
余白を利用してグラフを作図できる生徒は、正答率が上がります。
個人的に数学で最も難易度が高いと感じた問題は、
前期選抜入試と同様、空間図形の応用問題です。
今年は動点、相似、三平方、立体の視点の切り換えを用いた
なかなかの良問で、解説作成に力が入りました。
平面図形は、相似と三平方の定理を併せて使う問題で、
比の解法を身に付けていれば、スムーズに解ける問題でした。
規則性は前期選抜入試と真逆で、
規則を見つけること、そして方程式に表すことが難しい問題でした。
問題数も例年通りでしたが、得意・不得意問題の見極めが
高得点のカギを握っています。
不得意な問題は、5分考えて解法が思い浮かばなければ
次の問題に進むといった思い切りの良さも入試には効果的です。
また、数学は計算問題も含め、
頭の中だけで問題を解こうとしてはいけません。
必ず余白を利用して、途中式や作図を行って解くようにしましょう。
そのためには、普段からそれらを意識して
勉強するようにしておきたいところです。

理科:大問8つで、5教科中最多の大問数です。
それだけ幅広い単元から出題されています。
今年も1分野と2分野のバランスが良く、
人体、遺伝、天体、天気、化学変化、
物質の性質、音、仕事とエネルギーからの出題でした。
「理科と社会は暗記科目」とよく言われますが、
当然ながら重要語句のみを覚えただけでは太刀打ち出来ません。
社会でもそうですが、重要語句を繋げて覚えることが必要です。
例えば、『ブドウ糖』という語句から
どれくらいの情報が頭に浮かぶかが理解度の指針になります。
・デンプンが消化されたもの。
・だ液・すい液・小腸内の消化酵素で分解されたもの。
・小腸の柔毛の毛細血管へ吸収される。
・肝臓に運ばれグリコーゲンに作りかえられて貯蔵される。
ぐらいは最低限浮かんで欲しいところです。
更に実力を上げるには、
・だ液にはアミラーゼという消化酵素が含まれる。
・柔毛のリンパ管で吸収される栄養素もある。
・肝臓は胆汁を作る。
と、それぞれの重要語句から
更に重要語句を繋げて覚えていくと良いでしょう。
また、理科にも発表形式の問題が出題され、
読解力・表現力を求められています。
効果的な学習法として、アクティブラーニング(教え合いっこ)が
ありますが、一人では出来ません。
志塾で学習する時は積極的に利用してください。

英語:会話文、長文、リスニングの構成。
筆記問題は、前期選抜同様、長文問題のみで構成されており、
設問が英文の問題もあります。
適語変換、整序文、内容把握など、出題傾向は例年通りですが、
長文問題に組み込まれることで、難易度が上がります。
日頃から長文問題に取り組む習慣がないと、少々きつい問題です。
また、きっちり訳しながら問題を読んでいると
時間が足りなくなる文章量です。
おおまかな意味を掴める読み方を身に付けて、
時間の短縮も図りたいところです。
とは言うものの、英語の基礎中の基礎は単語力です。
単語力がついていない状態で長文問題にチャレンジしても、
苦痛なだけで英語が嫌いになってしまう恐れがあります。
英語の家庭学習の基本中の基本は単語練習です。
音読しながら書く。動詞を優先して覚える。
教科書の基本文を繰り返し書く。といった時間を確保してください。
リスニングはここ数年、
前期 → 一人が話すアナウンス形式
中期 → 会話形式
が出題されています。
今年度も会話形式で出題されました。
筆記の長文を勉強していれば解ける内容です。
当然ながら、『聞き取ることが出来れば』ですが。
大学入試ではリスニングの配点が上がるなど、
聞き取りの力を重視することになりましたので、
高校入試でも徐々に難易度が上がると考えられます。
もしかしたらリスニングの配点が上がるかも知れません。
今でもリスニングを制する者は英語を制しますので、
台本と音源を上手く使って、聞き取る力を鍛えていきましょう。

中期選抜入試も、読解力次第で解法が簡単に見つかる問題が増えました。
これからの学校教育では、思考力や表現力を重視する方向に向かいますので、
言葉の力が求められるのは当然の流れです。
読書の習慣をつけたり、今まで何となく理解していた言葉を調べて
本当にその意味で合っているのかを確認していきましょう。
塾に通っている方は、自宅でやる勉強と塾でやる勉強の
内容を区別して取り組むと効果が上がります。
が、自宅ではなかなか勉強出来ない方もいらっしゃると思います。
そんな方は志塾にお越しください。
どちらも出来る様に毎日コースを設けております。
分からない所を聞く、応用問題にチャレンジする、提出物を仕上げる、
単語・計算練習をする、学校では習わないちょっとした豆知識を聞く、
など、自宅で出来ないなら志塾で勉強していきましょう。

最後まで御覧くださり誠にありがとうございます。