塾長ブログ

『滅殺開墾ビーム』~学習法を工夫すると楽しく学べる~

はちさんという方のツイッターに挙げられた記事です。

はちさんの甥御さんの夏休みの宿題へのアドバイス。
宿題の内容は、漢和辞典から任意の漢字を選び
例文と併せて10ページ分書きだすといった
なかなか難易度の高いものです。

はちさん「自分が好きなアニメの台詞を例文にすればいいんだよ」

悩んでいた甥御さんは、即座に納得し
宿題を仕上げてしまいました。
その宿題に書かれていた例文の一つが
表題の『滅殺開墾ビーム』です。

はちさんは、勉強の何たるかをよくご理解されていると思いました。

漢字の勉強は、覚えることが大前提で、その先が勉強です。
「漢字を覚える」は、ただのスタートラインということですね。
漢字を覚えたら、正しく使いこなさないと、宝の持ち腐れです。

「机の舌に猫が角れている」

なんて文を作ることが無いように勉強しないといけないんですな。

今回の『滅殺開墾ビーム』はどうやらアニメの必殺兵器の名前だそうで
実際に使われている単語です。
個人が適当に作った出鱈目な単語ではなく
アニメの製作者が、
名前を聞いただけでどんな兵器か、どれくらい強力な兵器なのかが伝わるように
と、一生懸命考えて作った単語と思います。

甥御さんには、是非その先まで学んで欲しいと思います。

「滅殺」→対象を滅ぼすまで殺しつくすこと。

よって
「殺菌済」は、1つでも菌を殺せば条件を満たす。菌が残ってても「殺菌済」
「滅菌済」は、微生物が生育できる可能性を限りなく0に近づける行為のことで
ほぼ完全に菌の繁殖を防いでいることが条件。よって、より安全性が高い。

「開墾」→土地を耕作に適した状態に変えること。

よって
開墾は山を切り開き、海などを埋め立て、自然を破壊する行為であるが、
その後、田んぼや畑に変えることで、自然は人間と共存できる状態に生まれ変わっている。
しかし、あくまで人間側からの行為であり、乱開発は慎むべきである。

と、単語や熟語の意味を調べることで、
『滅殺開墾ビーム』から、それぞれの熟語の意味、使い方が分かりますし、
他の例文を作る力も付くと思います。

ふむ。
ということは、『滅殺開墾ビーム』は、
田んぼや畑を増やすためのビームであり、
田んぼや畑に不要なものを殺し尽くす
実は人間にとっても結構役に立つ兵器かも知れない。
乱発は止めて欲しいですが。

で、ある高校の先生(だったと思います)が編み出した
「ムスカ大佐に学ぶ表現技法」を思い出しました。

反復法…言葉を繰り返す。
例「読める。読めるぞ。」

倒置法…順番を入れかえる。
例「見せてあげよう、ラピュタの雷を。」

擬人法…人でないものを人に例える。
例「全世界は再びラピュタの元にひれ伏すことになるだろう。」

体言止め…文末が体言(名詞・代名詞)で終わる。
例「中へお進みください、閣下。」

対句法…対照的な二つの言葉を同じ形で並べる。
例「旧約聖書にあるソドムとゴモラを滅ぼした天の火だよ、
ラーマヤーナではインドラの矢とも伝えているがね。」

比喩
直喩法…「~のように」「~のようだ」を使った例え。
例「見ろ。人がゴミのようだ。」
隠喩法…「~のように」「~のようだ」を使わない例え。
例「立て。鬼ごっこは終わりだ。」

反語法…反対のことを述べることで、逆の意味を強調する。
例「最高のショーだと思わんかね。(いや、思わないわけがない。)」

省略法…言葉を省略する。
例「目が。(見えない)目がぁ。(見えないぃ)」

ムスカ大佐はラピュタ語を解読出来るから漠然と優秀だと
思っていましたが、表現技法を使いこなしていることから
本当に優秀なんだと確信しました。
流石、若くして特務機関の大佐まで出世した人物。
野心を見抜けなかった上司が残念でなりません。

しかし、この「ムスカ表現技法」の記事を見た時は、
こんな指導方法があったのか!
と目から鱗が音を立てて落ちました。
本当に良く練られている非常に分かり易い指導方法です。
ラピュタを観たことが無い小中高生は
損するので是非この機会に観ていただきたい。

私も、分かり易い指導方法を常々考えないといけないと痛感しました。

「くそ!このままでは負ける!」
「板垣退助総帥、お許しください。奥義を使います!」
「くらえ明治政府!!奥義!『民選議院設立建白書』オォォォ!」

なんてどうでしょう?

『民選議院設立建白書』とは
明治政府は当初、薩摩・長州藩が中心の
いわゆる藩閥政治を行っていたため
国民からの代表者も選ぼう!
という考えが出てきました。
そこで自由党の党首である板垣退助らが
明治政府に民選議院設立建白書を提出したのである。
自由民権運動の始まりとして覚えておく出来事。

…いかん。これでは板垣退助以外の誰かが
民選議院設立建白書を出したことになってしまう。
それ以前に誰がどんな場面で発している台詞なのかが
全く想像できない。
指導方法を練り込むのは難しい。
はちさん、ムスカ先生(仮)、凄ぇ。
私ももっと精進いたします。

最後まで御覧くださり、誠にありがとうございます。