2019年8月27日現在進行中のジャングルの森林大火災の問題。
G7(主要7か国首脳会議)が開催中ということもあり、
「これは大変」とG7諸国が火災対策の資金提供に合意しました。
で、G7開催国・フランスのマクロン大統領が
2200万ドル(約23億円)の資金提供を呼び掛けたところ、
なんとブラジル政府はこれを拒否。
何で!?
ブラジル政府のロレンゾニ大統領補佐官曰く
「ありがとう。しかし、その資金は
ヨーロッパの森林復活に使った方が良いのではないでしょうか」
ということですが、…だから何でよ?
これは、「資金提供」に「何で?」を解くカギがありそうです。
災害に対するお金は、「義援金」などのイメージかと思います。
義援金は被災者に分配されるお金で、分配されたお金は
返済しなくても良いお金です。
しかし、今回は資金「提供」なので
何らかの返済義務が生じます。
返済出来れば良いのですが、返済出来ない場合
当然ペナルティが課されます。
例えば、ある国がスリランカに対して行った融資。
スリランカのハンバントタ港の建設資金として
約13億ドル(約1400億円)もの大金が必要でした。
スリランカにはそんな大金はありませんでしたが、
その資金の大半をある国が融資すると言います、
これはありがたいと融資を受けますが、
最高金利6.3%という高利息だったため、
スリランカは返済不能に陥ります。
で、どうなったか。
ハンバントタ港をある国の企業に99年間貸し出すことになってしまいました。
早い話が植民地です。
非常においしい話に乗っかったら植民地になってしまったという
笑えない話です。
まあ、G7は各国がお互いに目を光らせているので
植民地まがいの資金提供を行ったりはしませんが、
ブラジル側としましては当然警戒します。
アマゾンの森林は、生態系の宝庫です。
例えば、発見されていない生物から
どんな特効薬が開発されるか分かりません。
ブラジルにとっても他の国にとっても
文字通り宝の山に成り得るのです。
植民地扱いされてはたまりません。
外交は、油断するととんでもない不利益を被ることになるのです。
ただでさえブラジルは、昔流行った「バイオエタノール」で
先進諸国に振り回された経験もあるので、
今回は資金提供の受け取りを見送ったのでは? と思います。
でも、大火災は大丈夫なの?
熱帯雨林気候で雨が多いので、雨が降れば鎮火しますが、
早く消火した方が良いのは事実です。空港も閉鎖されてるみたいですし。
ある記事では、アマゾンの森林を「地球の肺」と表現しています。
中3英語の教科書(東京書籍)のUnit 2で、リカルド君も
「熱帯雨林は世界の酸素の20%を算出しています」
「日本の教室にも熱帯雨林の酸素が届いているかも知れません」
と言っています。
「世界の酸素の20%を算出」は、その通りです。
だったら早く消火しないと! 地球の酸素が減ってしまう!
しかし、森林火災で直ちに地球の酸素が減少するわけではないのです。
ほう?
植物は酸素を作るだけでなく、消費もしています。
植物も生物である以上、呼吸を行うからです。
昼間は呼吸で消費する酸素の量より光合成で作る酸素の量が多いので
酸素の量は増えます。
が、夜になると光合成は行われませんので、
作った酸素を呼吸で消費するのです。
さらに、森林には植物だけでなく、動物・微生物など、
膨大な数の生物がいます。それらは、当然絶え間なく酸素を消費します。
ということで、作った20%の酸素はその熱帯雨林で消費してしまうのです。
結果、地産地消です。日本にはおそらく届いていません。
ん? じゃあ、酸素ってその地域で作られてるものなの?
その通りです。
日本も国土の森林割合が約66%で、莫大な酸素を地産地消しています。
砂漠などでは植物はおろか、二酸化炭素を出す生物自体がほとんどいないので
大気中の酸素と二酸化炭素の割合はほとんど変化せず。
木の増減は地球の酸素の増減とは直接結びつかないそうです。
まあ、詳しくはまた記事を書ければ良いと思っています。
森林の減少が酸素の減少に直接つながらないので、
焼畑農業なども行われるわけです。森林を農業用地にすると
その地域の人たちのためになりますし、
森林に人間が手を加えることで、新たな生態系・多様性が生まれます。
そもそも森林火災は自然に起こるものだそうで、例え焼失しても
熱帯などの水に恵まれた環境では2・30年で森林は再生されるそうです。
昔、ネイティブアメリカンは、森林火災は自然に起こるものとして理解していて
被害大きくしないように、わざと小規模な森林火災を起こして、
災害をコントロールしていたといいます。
今回の森林火災は人為的な面があるようですが、
貴重な森林が無くなる! 酸素減る! 早く消して!
ではなく、
どこまでなら広がっても問題ない?
消火活動に足りないものない?
といった
対策資金より消火対策が立案されているかが先のようです。
そう考えると、
「早く消さないと!」
「だから資金提供を受け入れて消火対策取って!」
より
「消火対策は大丈夫?」
「手が足りないなら手伝うよ」
という話が先のような気がします。
一見親切な話のようで、実は裏に打算がある。
大規模な災害の時くらい、お互い様で協力し合ったら良いのに
と思ったり
国際関係はそんな甘いことでは成り立っていないんだなぁ
と思ったりしました。
最後まで御覧くださり誠にありがとうございます。